【彼女をレンタルする時代】心にぽっかり空いた穴がある

今のネット社会、誰もが主役のように自己主張できるので、人の本音が垣間見えたり、垂れ流しになってしまっていることがあります。

匿名性があるからこそ、超個人的なことや醜い部分までひけらかす人が出て来るのでしょうが、わざわざ不快なワードを多用する人を見ると、『わかってほしい!』『注目して!』『すごいって言って!』と、叫んでいるようにしか見えません。

可哀想に、心に大きな穴が空いているんだなと感じます。

心の穴を言い換えると、『寂しさ』『劣等感』『嫉妬心』『怒り』……といった、ネガティブな感情でしょうか。

実社会で自分の存在が認められないがゆえに、ネットの社会で承認を求めているのだと思います。

声を大きくしたり、発言を過激にすれば、ネット社会の方が反応を得られますから、満足する結果を手に入れられるかもしれません。

そこに書かれていることが真実かどうかなんて、疑いを持つ人もほとんどいません。

実社会では、嘘はすぐにバレて信用を失うことになりますが……。

けれども、ぽっかり空いた心の穴は、『いいね』の数が増えても、支援者が増えても、はたまた異性から愛されても埋まりません。

なぜなら、塞ぐことができるのは、自分だけだからです。

『恋愛は麻薬だ』と言う人がいます。

異性から愛されるとドーパミンが分泌されるため、一時的に満たされることもあります。

恋愛は他人から認められるという行為の一種なので、承認欲求が満たされやすいんですね。

なので、異性から求められると、ネガティブな感情が無くなったように感じることもありますが、結局は自分自身としっかり向かい合って、自分を受け入れられないと、根本的な問題は解決しません。

相手の中に自分の価値観を探すようになると、依存するようにもなってしまいます。

そして、ここで言う問題とは、穴となってしまった部分です。

この穴の正体はなにかと言うと、あなたが今まで生きてきた過程で、他人からむしり取られてしまった後の窪みなのです。

親から、大人から、「だめ」と言われてきた部分と言うと、分かりやすいでしょうか。

『なんて意地悪なこと言うの』
『生意気な子ね』
『可愛げがないんだから』
『だらしないでしょ』
『自分勝手はダメ』

大人が子どもを叱る時に、割とよく言う言葉かなと思います。

その他にも、『太っていて恥ずかしい』とか『声が小さい』『足が遅い』といったことも含まれます。

子どもですから、これらの自分をむしり取られて「だめだよ」と言われると、周囲の大人たちが満足する『いい人』にならなきゃいけないのだと思ってしまいます。

けれども、むしり取られた部分の代わりに『優しい自分』『素直な自分』『しっかりした自分』『スリムな自分』で補完しようとしても、穴は塞がらないのです。

なぜって、『いい子』になって誉められても、それは自分じゃないからです。

むしろ、頑張って痩せたのにも関わらず『ぽっちゃりなんだね』と言われて、立ち直れないこともあるかもしれません。

そういうことが度重なると、他人のことが羨ましく思えて、自分以外はみんな幸せに見えたりするのです。

自分は生きているのが辛いというのに、自分以外のみんなが幸せそうだと、孤独を感じますよね。

もちろん、私にも穴はあります。

私の穴は、子どもの頃にずっと虚無感を抱えていたことです。

ただ、幸いなことに私には小さな頃から本が身近にあったため、穴を埋めることができました。

両親が読書家だったので、家には常に本がありました。

模擬試験で全国上位に入ると、図書カードがもらえるという餌があったのも良かったかもしれません。

寂しさ(心の穴)を埋めるために本を読む→新しい本がほしいからいい点を取る→餌がもらえる

というように、一時的にですが、子どもなりに自分を満たす方法を編み出していたのです。

やがて、読むだけでは飽きたらず、創作をするようになっていくのですが、大人からむしり取られた穴は、小説の中で昇華することにより埋めることができました。

だから、私の書く小説は、いびつな人ばかりが出てきます。

卑屈だったり、他人の目を異様に気にしていたり、相手の中に自分の存在を求めたり……。

色々な問題を抱えたキャラクターを創造することにより、満たされたのだと思います。

もちろん、これは特殊なケースかもしれません。

ただ、確実に言えることは、あなたに空いた心の穴を満たせるのは、あなた自身なのです。

この穴が大きくて、もうずっと長い間辛い思いをしている人もいるかもしれませんね。

穴が大きくて実体が見えないとか、直視できないようなら、その穴の正体を一緒に突き止めるお手伝いもできます。

ぜひ、ご相談ください。